登るも地獄、登らぬも地獄

さて、這々の体で降りてきた坂を登ることになった我々ですが、下にいた方々と急きょ四人チーム「SNS(遭難者)4」を結成、ひとりずつちょっとずつ登ることとなりました。

登らないと皆でそこに住むことになりますからね。大変ですよ、それは。樹の実や動物を探したり、たまに降りてくる人を捕まえては●●して…なんていう狩猟採集民になるわけですから。

ツルツルする坂をひたすらコツコツ登りました。重力ってこういうときは本当に邪魔ですよね。私は小さいバイクだったので若干ラクをさせてもらいましたが、フルサイズの方々は本当に大変だったと思います。ミドリさんなんてタイヤのブロックもあんまりないのに、よく登りましたよあんな坂。

 

静かな林道の中に響くのは4ストのエンジン音と、「SNS4」のハアハアという息遣い。時折「ヴアァァー」とか「イヤァァアー」いう声も聞かれまして、場の空気をより一層悲惨なものへと演出してくれてました。

何をやっとるんでしょうね、大の大人が冬の山奥で。

 

どのくらいの時間がかかったのかはよく覚えていませんが、登れました。

登りきった時はもうショーシャンクかアルカトラズ、はたまたフォックスリバーから脱出できたかのような解放感でしたね。

そこで「SNS4」はセンターが誰かを決める前にアッサリ解散。まあ、そこから先は皆帰る方向が違いますし、さっさと解散しないと日が暮れるからです。ほなさいなら〜、ってなもんです。

 

ただ私はここで新たな試練を迎えることになります。

登り坂で一人ラクをした罪を負うことになるのです。

そうです、原付二種での帰宅です。

往路はまだ元気でしたけど、復路はそうではありません。ヘロヘロなんです。

かといってそこで休んでいても日が暮れるだけです。

 

帰るしかありません。

 

老体に鞭打ち、キックペダルを2回くらい踏み外しながらようやくエンジンを掛け、自宅へと出発しました。

 

ぶーん。

 

 

 

 

 

 

・・・よし、富津ぅ

 

 

 

 

 

 

・・・ふう、やっと、君津ー

 

 

 

 

 

 

・・・き、き、さ、ら、どぅ・・・

 

 

木更津の看板が見えたときにはもうかなり意識が遠くなってました。

日が暮れてきて寒いのと、疲労でヤバかったです。

ファミマでカップラを食って熱を補給しましたが、疲労はいかんともしがたく、急きょ木更津に宿泊と相成りました。こんなこともあろうかと、翌日有給を取っていたのは我ながらファインプレーです。

 

で、爆睡して翌朝起きてみるとなぜか外は風雪。

目を疑いましたね。試練はまだ終わっていなかったのですね。

本当に私はバイク神に呪われているのだと思います。

前日、バイク神の御心に背いて林道走行を強行したため、このようなタタリに遭うのです。参りましたよ、ホントに。

 

この風雪の中、原付きバイクで家に帰る気には全くなれずバイクをホテルに預け、高速バスと電車で家に帰って、ハイエースに乗ってホテルにとんぼ返り、バイクを積んでから木更津の「やまと」という回転寿司で昼飯を食って帰りました。美味しかったですよ「やまと」。カワハギうまかったー。

 

この林道旅は一生モノの思い出になると思います。

かなり辛かったですが、それ以上に楽しかったです。

ミドリさん、本当にありがとうございました。

また行きましょう!

 

まあ私は林道まではハイエースで行きますけど。